メンター制度とは?離職率を減らす制度導入徹底解説
「高卒採用の教科書」編集部です。今回は、メンター制度についてお話ししたいと思います。採用活動において重要なのは、入社後のフォローです。高卒採用の場合特に重要で、初めて社会に出たときに仕事以外にも多くの悩みを抱え、仕事を辞めてしまう方が多いです。そこで最近注目されているメンター制度について説明していきます。
1.メンター制度とは?
メンターの語源は、トロイア戦争後のオデュッセウス(Odysseus)王の流浪の旅を描いたホメロス(Homer)の長編叙事詩『オデッセイア(The Odyssey)』の登場人物「メントル(Mentor)」と言われています。メントルは王の親友で息子テレマコス(Telemakhos)の良き指導者、良き理解者、良き支援者として描かれています。
このメントルの存在が、偉大な教育者としてメンターのイメージをされている方も多いと思います。しかし、日本国内におけるメンターは、組織の制度上で任命されたメンターのように、特別視された教育者、支援者ではなく、一般社員が任ずる場合が多いようです。メンターとは、一般的には「支援者」「助言者」と訳されていることが多く、「未熟な若者を支援・助言する経験豊かな人」を意味します。
通常、同じ部署の上司や先輩が部下に対し、業務の指示・教育指導・評価する「上下関係」に対し、部署の違う豊富な知識と経験を有した先輩社員をメンターとし、後輩社員をであるメンティーと「斜めの関係」を作り出し、仕事に限らず個人的な問題や悩みの相談や気軽な雑談をすることで、後輩社員であるメンティーの精神的なサポートに加え、部署を超えた人間関係の構築とコミュニケーション能力の向上といった成長を促します。
2.今の時代にメンター制度が必要な理由
一昔前であれば日本の企業は終身雇用・年功序列といった企業体形で1度会社に入ったら定年までそこで働く時代でしたが、時代と共に価値観が変わり人はより働きやすい企業、より待遇のいい企業へ気軽に移るようになりました。また技術の進歩により、スマホやパソコンと言ったインターネットが普及し、授業もオンラインだったり、電話したこともない若者も増え、対面でのコミュニケーションする機会が少なくなり、人とのコミュニケーションが苦手な人が増えてきました。
さらにこの数年、コロナという世界的な流行に伴い、「テレワーク」という会社に出社しなくても自宅で仕事するといった、今までにない全く新しい働き方が出て来て、益々会社内でのコミュニケーション不足が露呈されるようになりました。
こういった時代背景や社会環境、人々の価値観の変化から、社内でのコミュニケーションの重要性が高まり、その対応策として「メンター制度」が注目されています。
3.メンター制度の目的と効果
①社員定着の促進
メンター制度の目的の中で最も多いものです。中でも、新卒新入社員の定着促進が多ですが、中途社員や若手社員の定着促進こそより切実な課題と思われます。
②女性活躍推進
女性社員の管理職登用を目途としての活躍推進が多いです。現在は、女性社員に特化するだけではなく、多様性尊重(ダイバシティ)の目的に発展してきています。
③リーダー・マネージャーの育成
メンターの育成目的としてあげられるものです。メンター経験はコミュニケーションのスキルとマネジメント・スキルの向上に直接資するものです。
④コミュニケーションの活性化
コミュニケーションの不足の課題は、多くの組織に真っ先にあげられるものです。それは、生産性の低下やトラブル発生など様々な問題の根源となっています。
⑤メンタルヘルス対策
メンタルヘルス対策のストレスチェックの項目の一つとして、「組織に相談できる人の有無」があり、メンター制度の必要性がよりクローズアップされました。
⑥組織の理念・技術・ノウハウの伝承
OJTを幅広く捉えれば、伝えるものは具体的なもの抽象的なもの様々あります。メンタリングで何を伝えるべきかを整理して、メンター制度構築をするべきです。
4. メンター制度導入後の変化
メンター制度を正しく導入した企業は、辞める社員がいなくなり離職率0という効果に加え、メンターの育成力・マネジメント力の向上し、社内の風通しが良くなり部署間の協力強くなり業績もあがり、そういった職場環境の改善が新卒社員の応募増加にも繋がっています。
しかし、厚生労働省の「働く意欲向上に資する育成施策」のアンケートにもあるようにメンター制度は効果の高い制度だが、取り組みの仕方によっては効果が上がりにくくもあります。しっかりと効果を出すには、①メンター制度の組織の理解と浸透、②メンタ ー・メンティーへの教育が必要不可欠です。
5. まとめ
メンター制度は、社員定着の促進だけでなくリーダー・マネージャーの育成、女性活躍推進といった様々な効果があり、近年では社内の人材育成の柱に置き積極的に導入する企業が増えています。メンター制度を正しく導入すれば必ず思うような効果が得られますが、効果が出るようにするためには、我流で取り組むのではなく、専門家へご相談ください。